情報知識学会誌, Vol. 10, No. 4

情報知識学会誌, 2001, 10(4), 4-13

ゲノム情報ブローカGIB:微生物ゲノムのデータ検索と比較解析支援システム
Genome Information Broker for Data Retrieval and Comparative Analysis of Microbial Genomes
後藤 康丞, 宮崎 智, 菅原 秀明
Kousuke Goto†, Satoru Miyazaki††, Hideaki Sugawara††
†Science Systems Division, Teijin Systems Technology Ltd.
††Center for Information Biology, National Institute of Genetics

 1995年にインフルエンザ菌ゲノムが公開されてから既に30以上の微生物のゲノム配列が決定され公開されている。さらに、100種類以上の微生物ゲノムがここ1〜2年内に公開されると思われる。それらのゲノムデータは配列を決定したゲノムプロジェクトチームからはもちろんであるが、同時に国際DNAデータバンク(DDBJ/EMBL/GenBank)からも公開される。しかしながら、そのデータのフォーマット、表現方法、さらに配列解析から生物学的意味付加(アノテーション)までの手法が共通でないために、有用な知見をもたらす比較ゲノム解析を行うことを実施することが困難であった。そのため、我々は既に公開されている微生物ゲノムに付加されている生物学的情報や配列を検索、取得するシステムとしてゲノム情報ブローカ(GIB)を開発した。GIBは比較ゲノムの研究に役立つものと考えている。GIBはhttp://gib.genes.nig.ac.jpで公開されている。

Whole genome sequences of more than 30 microbial species have been determined and open to the pubic since 1995. In addition, more than 100 microbial genome sequences are supposed to be disclosed or completed in a couple of years. The data are available either from the sites of groups that determined the genome sequence or from DDBJ/EMBL/GenBank International Nucleotide Sequence Databank (INSD). However, it is a daunting task for us to apply comparative genomics to the increasing number of microbial genomes. It is due to inconsistency of data format, data representation and even protocols of data annotation in the diverse data sources. Therefore, we developed Genome Information Broker (GIB) that allows us to retrieve and to display the part and/or whole genome sequences and the relevant biological annotation of all the microbial genomes together. Thus GIB will be a powerful tool for the study of comparative genomics. The URL address of GIB is http://gib.genes.nig.ac.jp.

情報知識学会誌, 2001, 10(4), 14-31

ゲノム情報処理技術に基づいた生物種固有のコドン使用多様性
金谷 重彦†,††, 木ノ内 誠†,††, 大平 賢†, 工藤 喜弘†
†山形大学工学部・応用生命システム工学科・応用生命工学講座, ††科学振興事業団CREST

 遺伝子発現の一過程である翻訳における最適コドンを決定することは、遺伝子の発現量を推定するための重要な因子の一つである。本研究では、ゲノム全体の遺伝子を対象にバイオインフォマティクス的立場から多変量解析法に基づいて原核生物(バクテリア)と真核生物における種固有のコドン使用多様性について検討した。 原核生物はもとより単細胞真核生物(Saccharomyces cerevisiae、Scizosaccharomyces pombe)および多細胞真核生物(D. melanogaster、C.elegans)についてもコドン使用多様性に生物が有するtRNA種が大きく影響を及ぼしていることを示した。さらには、広範囲の生物種の種固有のコドン使用多様性に影響を及ぼす因子を検討した。

情報知識学会誌, 2001, 10(4), 32-42

ポストゲノムにおけるプロテオーム研究
次田 晧
プロテオミクス研究所

 ヒトゲノムの全配列に続いて30種類以上の他のゲノム配列の完成が報告されている。このようにゲノムの解明された現在、転写レベルのTranscriptomeと翻訳レベルのProteomeの2つのprojectが注目を浴びて来た。 Proteome projectは生物の組織、細胞等の特定の部位で特定の時間の断面で発現される全蛋白質を分離してその各々の蛋白質を同定する事を目的としている。現在この目的の為に蛋白質の等電点と分子量で分離する二次元電気泳動法が主として用いられ、分離した蛋白質の同定にはN末端からのアミノ酸の配列解析、又蛋白質spotをゲルと共に切り取りトリプシン等の蛋白分解酵素で分解し、抽出して出て来たペプチド断片を質量分析装置で分析するペプチドマスフィンガープリント法等が使われている。これらの方法は分析感度が非常に高く前者で1pモル後者で10〜100 fモルで行われ、現在それらを自動化し且つ迅速に行うかという事に努力が集中している。一方これらのデータを標準化しデータベース化する努力が行われている。二次元電気泳動のイメージマップ、その実験を行った条件をGeneralデータとして入力、個々のspotの蛋白質のデータとその関係する20項目のデータをPIRのフォーマットに従ってspotデータとして入力してある。これらのデータベースについて概略を述べる。

情報知識学会誌, 2001, 10(4), 43-49

日本DNAデータバンクにおけるオブジェクト指向技術の活用
Applications based on object oriented technology at DNA Data Bank of JAPAN(DDBJ)
宮崎 智
国立遺伝学研究所 生命情報研究センター

 国立遺伝学研究所では、1986年より塩基配列データベースの開発に着手し、日本DNAデータバンク(DNA Data Bank of JAPAN, 以下DDBJ)として国際的な事業を展開している。現在DDBJは、国際DNAデータバンクの1極として、米国のNCBI、ヨーロッパのEBIと日々データを交換し公共的な塩基配列データベースの構築支援に寄与している。この3極で集めれたデータは、DDBJ/EMBL/Genbank国際塩基配列データベースとしてまとめられ、一般ユーザへ公開されている。

最終更新日: 2011-02-18 (金) 11:48:19

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