情報知識学会誌, Vol. 11, No. 1

情報知識学会誌, 2001, 11(1), 2-10

学術情報流通の新たな方向性 -科学コミュニケーションと電子メディア-
A New Perspective in Scholarly Communication: Electronic media and scientific communication
倉田 敬子
慶應義塾大学 文学部 人文社会学科

最近注目されている電子メディアが学術情報流通において果たす役割に関して考察した。その際、電子メディアの持つ技術的利点のみに注目するのではなく、科学者たちによる独特な性質を持つ科学コミュニケーションの観点から考えた。医学、心理学、物理学、歴史学分野における日本の研究者たちの電子メディア(電子メール、メーリングリスト、WWW、電子雑誌) 利用状況調査を引くことで、研究者たちは全般的には電子メディアを利用しているが、電子雑誌の利用に関しては分野による差が大きいことを示した。出版社・学会による学術雑誌を中心とする既存学術情報流通システムに対して、電子メディアを利用することによって初めて可能となるオープンアクセスな流通のあり方の提案に関しても検討した。

情報知識学会誌, 2001, 11(1), 11-16

情報学における歴史研究の境位 -「情報学自体の歴史」から「情報学から見た歴史」への道-
State-of-the-art of Historical Studies in Information Science -From "History of Information Science" to "History from the Viewpoint of Information Science"-
村主 朋英
愛知淑徳大学 文学部 図書館情報学科

American Society for Information Science and Technologyを中心に進んだ研究は、図書館・情報サービスの歴史や情報学の分野それ自体の歴史を扱って成果を挙げている。本稿では、そのような近年の情報学における歴史学的研究の動向を踏まえ、情報学の立場からの歴史研究とメディア史(コミュニケーション史)の双方の視点を有機的に統合することによって、より包括的な情報史の研究を実現するための方策について論じた。情報環境の概念を導入すると、情報学の視点からの歴史研究は情報環境の構築・準備および管理という観点から構造的に把握し直すことが可能である。これに対し、メディア史の観点からの歴史像、つまり情報環境に囲まれた人々の情報探索行動や利用行動に焦点を当てた歴史記述を付加することによって、総合的な情報史の歴史観が得られると結論付けた。

情報知識学会誌, 2001, 11(1), 11-16

可能態としての反情報概念 -情報の本質と情報生成過程に関する考察-
A Concept of Anti-information as Possibility
平田 周
立正大学 大学院経営学科

「情報とは何か」という問題は、簡単にみえて、複雑にして難解な課題である。これまで提案された「情報」の定義は、多元的・階層性となり、かつその本質ではなく、性質や効用を説明するにとどまっていた。本質は本来一元的定義を求める。情報自体には未来性も過去性もなく、現存在でしかないという性質があることから、情報が「時間」概念と似ていることに着目した。だが、情報は時間と違い、未来事象への関連性が強い。未来とは可能性であり、可能性の本質を「反情報」であると仮説した。反情報が、あらゆる存在物にcon-formされて情報となり、情報が存在物を in-formするという構造を提案する。反情報概念を用いると、これまで説明が困難であったような事象も、説明ができることも発見した。ウィーナーは、あらゆるものは「物質とエネルギーと情報からなる」とした。反情報概念を用いることで、物質、エネルギーに比肩する「情報」の本質がみえてくる。

最終更新日: 2011-02-18 (金) 11:50:53

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