#title(情報知識学会誌, Vol. 10)

* 情報知識学会誌, Vol. 10 [#pff353eb]

** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 9(4), 3-11};&br;Thesaurus管見&br;'''Thesaurus - Past and Present'''&br;寺澤 芳雄&br;岐阜女子大学 文学部 [#e1787a92]

まず, 中世から現代にいたるthesaurusの発達をRoget's Thesaurusを中心に概観する。ついで, Roget's Thesaurusが近代科学発展期のキーワード「分類・組織」によって観念を分類・体系化し, これに基づいて英語の語彙組織を確立しようと試みたものであること, その際RogetがF.Bacon, J.A.Comenius, J.Wilkins等の構想から影響を受けたことを明らかにした。さらに, Roget's Thesaurusがその後の時代の要請に応え, どのような変容受けつつあるか, またその構想を応用した各種概念別分類辞典を取り上げて, thesaurusの今後の可能性を考察した。




** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 9(4), 12-28};&br;情報処理研究とターミノロジーから見た『分類語彙表』&br;- 分類の体系と専門語の扱い -&br;'''"Bunrui Goihyo" as a resource of information processing&br;--- Compilation strategy and treatment of technical terms ---'''&br;柏野 和佳子†, 中野 洋††, 石井 正彦†††&br;†国立国語研究所 言語体系研究部, ††国立国語研究所 日本語教育センター†††大阪大学大学院 文学研究科 [#ufee4304]

日本語の代表的シソーラスである国立国語研究所『分類語彙表』について,情報処理研究とターミノロジーの観点から,その特徴を論じる。はじめに,『分類語彙表』の体系について解説と分析とを行い,『分類語彙表』を情報処理に利用する場合の利点を明らかにする(柏野・中野)。次いで,ターミノロジーの立場から,『分類語彙表』における専門語の収載状況を調査し,専門語を含むシソーラスとしての利用可能性を検討するための基礎的な資料を提示する(石井)。




** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 9(4), 29-37};&br;シソーラスと文献データベース&br;'''Thesauri and Bibliographic databases'''&br;永井 賢吉†, 原田 郁子††&br;†科学技術振興事業団 情報事業部, ††科学技術振興事業団 文献情報部 [#w782433e]

JICSTシソーラスについて, 用語の表記, 同義語の扱い, 階層関係の設定等の用語統制に対する考え方を述べた。シソーラスで規定される用語間の関係は普遍なものではなく, どのような収録範囲のデータベースを対象とするかによりシソーラス毎の違いが生じることを論じた。また, ネットワーク上に分散して存在する各種データベース等のデジタル・コンテンツの統合検索に用いること目的として, JSTにおいて整備を進めているデータベース検索用大規模電子辞書について紹介した。




** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 9(4), 38-48};&br;意味関係抽出手法統合による概念の体系化&br;'''Structurelization of Concepts by Integration of Semantic Relationships'''&br;伊東 千夏†, 宇陀 則彦†, 石塚 英弘†, 藤原 譲††&br;†図書館情報大学&br;††神奈川大学 理学部 情報科学科 [#pd0b921c]

本論文は知識資源の自己組織化手法の一つとして、複数の意味関係手法を統合した概念の体系化について述べる。本論文ではEDRの日本語専門用語単語辞書を対象に、造語規則を利用して階層関係を抽出するとともに対訳を利用して同義関係を抽出し、それぞれの結果を統合した。本論文では概念体系を構造としてとらえ、様々な原情報から複数の手法で意味関係を抽出し、構造を自己組織的に変化させて徐々に充実させた。本論文によって、構造中心の手法が概念の体系化に有効であることを示した。




** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 10(1), 2-27};&br;情報の普遍的概念を求めて&br;'''Searching for a Universal Concept of Information :&br;Part 1. Genetic and Linguistic Information Systems&br;Part 2. An Idea to Quantify Semantic Information'''&br;竹村 彰祐&br;愛知淑徳大学 文学部 [#a795551f]

自然科学の立場から情報の普遍的概念を探るために、第1部では遺伝情報系と言語情報系とを比較した。遺伝情報系と言語情報系とは、その構造においても機能の面からも極めて類似している。したがって遺伝系は自然言語の一種と見做し得る。この意味で、DNA言語なる言葉がしばしば用いられる。遺伝系は言語系よりもずっと高度に進化しているであろう。  第2部では意味的情報の定量化を脳神経系に基づいて試みている。物質とエネルギーと情報との間には強い相関がある。さらに次の仮説を提出する。思考は解を生む。解は情報を含み、情報を発する。役に立つ解は大脳皮質にある装置に記憶される。このとき、電気信号がニューロンからニューロンに伝わるとエネルギーが消費される。それで情報(含)量はエネルギーの単位で表現することができるであろう。




** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 10(1), 28-39};&br;概念間の関係に関する一考察: 全体ー部分関係を中心に&br;'''Characteristics and Issues of Partitive Relations among Concepts'''&br;細野 公男&br;慶應義塾大学 文学部 図書館・情報学科 [#o7056119]

 全体―部分関係は種々の分野で使用されているきわめて一般的な関係であるにも拘わらず、その特徴や問題点が十分考察されているとはいいがたい。\\  そこで本論文では、まず概念間、ことば間、そして概念とことば間の関係を扱う研究分野の例をあげ、それぞれでのアプローチの違いを示した。また、ターミノロジーおよび情報検索分野のシソーラスを中心に、類種関係、全体−部分関係、連想関係の全般的な特徴を明らかにした。 次にこうした論議を踏まえて、全体−部分関係の特徴と問題点を、ターミノロジーおよびシソーラスを中心に考察した。ターミノロジーではこの関係は概念の把握を容易にするための手段と捉えられてはいるが、部分概念を把握することのむずかしさ、名義論的過程と意義論過程との混乱がみられることを示した。また検索性能の向上を目的とするシソーラスでは、全体−部分関係は便宜的でありあまり重要視されていないこと、および関係規定の曖昧さが顕著に見られることを明らかにした。




** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 10(1), 40-47};&br;データと近代科学の発展―西欧と日本での比較&br;'''Data and Development of Modern Sciences:\\ A Comparative Study of Europe and Japan'''&br;国沢 隆&br;東京理科大学 理工学部 応用生物科学科 [#jbc70875]

今日、環境問題などの解決のために、データの蓄積ということが以前にも増して重要な課題となりつつある。こうした社会的要請ばかりでなく、科学自体がその発展のためにデータの蓄積を必要としている。よく知られているように、天体運行データや生物種多様性データを基にして西欧では近代的な物理学や生物学が誕生したが、日本や中国では近代化しそこなった。これらのデータを例にとり、研究者のデータに対する態度とその結果としての理論体系の構築について二つの地域で根本的な違いがあったことを指摘する。




** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 10(2), 2-11};&br;大規模ヒト3次元脳画像データベースの構築&br;志田 和人、川添 良幸、粂川一也&br;川島 隆太、大槻 昌夫、福田 寛 [#z241b4d4]

今日では、MRI(核磁気共鳴断層撮影装置)などの医用画像機器が高度に発展し、またヒトの脳に関する医学研究上基本的な機器となりつつある。しかし、如何に大量のデータを収集したとしても、それを管理し検索する適当な手段が無くては無意味である。 我々は1000の健常者の3次元脳MRI画像を含むデータベースを構築中であり、これについて報告する。また、この種のデータベースについて要求される一般的事項の幾つかについても議論する。

*** '''Construction of a large scale 3D image database of human brain};&br;Kazuhito Shida†, Yoshiyuki Kawazoe† Kazuya Kumekawa††, Ryuta Kawashima†† Masao Otsuki†††, Hiroshi Fukuda††&br;†TAO, Aoba Brain Imaging Research Center, IMR Tohoku Univ ††School of Medicine Tohoku Univ †††IDAC Tohoku Univ''' [#q9205bfd]

Nowadays, highly advanced medical imaging devices, like MRI(Magnetic Resonance Imaging), are developped and have become rather common apparatus for medical research of the human brain. No matter how much data is obtained, however, it is nothing without appropriate measure for searching and analyzing it. The necessity of sophisticated database management systems for three-dimensional brain images is now clear.   A three-dimensional brain image database which consists of about 1000 brain images taken from normal subjects are under construction. In this paper, what have accomplished on the database up to now will be introduced and several issues on general design of such kind of database are discussed.





** &size(12){情報知識学会誌, 2000, 10(2), 2-11};&br;材料設計のための結晶データマイニングへのアプローチ&br;ユーリ・コトリャーロフ、岩田修一 [#qb5e2b5b]

材料における化学組成、結晶構造、物性それぞれの関係を体系的な分類に基づいて総合的に理解することは、材料設計の基本である。構造や物性値を数多く格納したデータベースは、上記の関係に対する新しい知識を得るための強力な道具となる。ここでは、データースを利用して無機材料における結晶構造と構造要素データマイニングを行なう上での問題点を、結晶学的見地から述べる。層状銅酸化物超伝導材料における、新たな探索方法の開発と、複雑で未だ発見されていない規則性を見出すことを目的として、二次元積層構造に関する分類を行なった。

*** '''Layers Sequences in the Materials with Perovskite-Related Structures;&br;Yuri Kotliarov†, Shuichi Iwata††&br;†Research into Artifacts, Center for Engineering, the University of Tokyo †† Institute of Inorganic Chemistry, Siberian Branch, Russian Academy of Sciences''' [#pf035090]

A new approach to get a qualified view on large amounts of materials data is proposed. Global understanding on the relations among chemical composition, crystal structure and properties of materials on the basis of suitable classification is a starting point of material design. The present work is focused on studying the crystal structures and structural primitives as keys for materials design based on crystallographic information, and a sequence of stacking 2-dimensional layers, implying hidden regularities in the high temperature superconducting (HTSC) materials, is selected as an additional features to generic crystallographic information.   Prerequisites for using this approach, its limitations and possibilities for database developments are discussed based on the analyses of data extracted from Inorganic Crystal Structure Database (ICSD) . In addition, possible applications of this method for classification and design of these interesting materials are proposed.

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