震災復興を進めると同時に震災の記憶を後世へと残すことが、現在を生きる我々の責務であると考えられます。現在、既に、震災の記憶を記録し、アーカイブズとして後世に伝えるための様々なプロジェクトが産官学で実施されています。しかし、そこではアーカイブすることが目的化しており、しばしば、記録する、アーカイブすることの意味や意義をめぐる社会学的・哲学的な問いが抜け落ちているようにも思います。失われる記憶や記録をまずはアーカイブすることが必要である一方、震災を記録することの意義は何か、またどのような形でアーカイブするのが望ましいのかといった議論を同時に展開する必要があるように思います。
本フォーラムでは、産官学で様々に実施されている震災のアーカイブズプロジェクトの現状と課題を共有し、アーカイブズとは何か、どのようにあるべきか、どのように活用できるといったことについて、第一線で活躍されている講師の方々および参加者の方々と議論することを目的としています。
シンポジウムの第I部では、現在、各所で取り組まれている震災アーカイブズプロジェクトについてご紹介いただき皆さまと現状を共有するとともに、現在の課題について議論を行います。
第II部で記録やアーカイブズの持つ意義を史学の立場からご提起頂き、災害史学や産業史の研究者の方々が過去の資料をどのように調査しその時代や人々を鮮明に浮かび上がらせてきたのか、過去の経験や知見をどのようにして現代的文脈で展開し防災等に反映できるのかといったことについて議論したいと思います。
最後に、第III部では、第I部、第II部での講演や議論を受けて、(未来の)災害史学者や社会のために、我々は、どのような記録を、どのような形でアーカイブすべきかということについて、議論を深めたいと思います。本シンポジウムの開催を通じて、震災のアーカイブズに携わる方々にとってだけでなく、311以降の現在を生きる我々自身、さらには将来の世代のために何らかの貢献ができればと考えております。
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情報知識学会事務局