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#title(シニア情報知識学研究部会 2012年度第3回卓話会(通算第6回))
*シニア情報知識学研究部会 2012年度第3回卓話会(通算第6回)ご案内 [#annai]
下記の要領で卓話会を開催します。奮ってご参加ください。
シニア部会では、「事始めシリーズ」として、情報知識学各方面での先達を
お招きして、往時の研究状況の話を伺って、現状への理解深め、今後の展開を
議論するための卓話会を開催しています。今回は笹森勝之助会員に講師をお願
いして、下記要領により本年度第3回卓話会を開催しますので、若手、現役、シ
ニアの各層会員とも奮ってご参加下さい。
笹森氏は1958年に設立間もない日本科学技術情報センター(JICST、現科学技
術振興事業団)に入所され、データベースの編集、情報検索システムの開発を
担当され、その後も情報技術関連のほか、多方面で活躍されています。今回
は、本邦初のシソーラス制作ソフトウエアである「JICST用語管理システム」
(DOCTOR)の設計開発の経緯を中心に当時の状況をお話し頂き、情報検索シス
テムの今後の展望について議論したいと思います。
なお、当日参加も可能ですが、参加予定の会員は、根岸(negishi_at_nii.ac.jp)および学会事務局(jsik_at_nifty.com)宛、連絡頂ければ幸いです(_at_は@と読み替えください)。
-テーマ:「JICST用語管理システム」(DOCTOR)の設計と実装の思い出
-日時:2013年3月27日(水)18:00-19:00(適宜延長)
-会場:学会事務局(秋葉原、凸版印刷内)
-参加費:無料(※シニアだけでなくどなたでも参加可能です)
-参加費:無料(※シニアだけでなく会員どなたでも参加可能です(会員種別を問いません))
-講師:笹森勝之助氏(学校法人恵泉女学園理事、株式会社国際開発センター監事、元日本科学技術情報センター(JICST、現科学技術振興事業団))
(シニア部会代表世話人:松村多美子、世話人:根岸正光)
*シニア情報知識学研究部会 本年度第3回(通算第6回)卓話会報告 [#report]
本年度第3回シニア部会卓話会は、3月27日18時から学会事務局にて、本会会員笹森勝之助氏に講師を願いして、「JICST用語管理システム:DOCTORの設計と実装の思い出」をテーマとして開催された。出席者9名。
笹森氏は1957年に創設されたJICSTに翌年の第一期新卒採用所員として入所され、文献速報編集業務および情報検索システムの構築に取り組まれた。文献速報はUDCによる検索のみであったので、シソーラスによる多角的検索機能の実現を企図され、その研究開発を進められた。本講の主題であるDOCTOR (Dictionary Operation & Control for Thesaurus ORganization)は、用語および用語対の入力をもとにシソーラス用語間の関係を構成し作り上げてゆくシソーラス編集システムで、これにより、1970年に部内での稼働を開始し、1975年に23,000語の冊子体JICSTシソーラス第1版が出版され実用に供された。
当時、大型コンピュータといっても、今日のパソコンの100万分の1程の能力、容量で、シソーラスのようなリンク構造データを扱うのは容易でなかった。またコンピュータによる情報検索やシソーラスなるものも、わが国では未知で、米国の先進事例の勉強から始めなければならなかったとのことで、その成果として翻訳書も出版された(チャールズ・T・メドウ 著、 高地高司、笹森勝之助訳、「情報検索―検索言語・情報構成・ファイル処理」 、1970年、日本経営出版会刊)。
このような当時の状況解説について、当時を知る出席者会員からは補足的意見も出され、活発に議論が行われた。19:30に一旦散会し、場所を近所の居酒屋に移して21時頃まで延長戦が展開され、今や全文検索が全盛で、編集者により付与される統制語彙は軽視されがちであるが、改めてその有効性を認識するべきである、そのためには技術史を含めた教育が重要である等々の議論で盛り上がった。ところで現今IRといえば機関リポジトリで、情報検索ではなくなったが、そもそも「情報検索」なる訳語の創始者は誰か、笹森氏ではないとのことであったので、この際読者諸賢からのご教示を仰ぎたい。
なお、笹森氏は本講演を元にして、関連論稿を学会誌に寄稿して下さるとのことで、大いに期待したい。
(シニア部会代表世話人:松村多美子、世話人:根岸正光)