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#title(シニア情報知識学研究部会 2013年度第1回卓話会(通算第7回))
*シニア情報知識学研究部会 2013年度第1回卓話会(通算第7回)ご案内 [#annai]
*シニア情報知識学研究部会 2013年度第1回(通算第7回)卓話会ご案内 [#annai]
シニア部会主催の卓話会は、温故知新を趣旨として、情報知識学各分野における先駆者から当初の状況を解説して頂く「事始めシリーズ」に加えて、現下急速に進展しつつある「高齢情報化社会」の動向も討論のテーマとして、2010年末から既に6回開催しております。(http://www.jsik.jp/?senior)~
2013年度も同様の枠組みにて3回開催する計画です。その企画のための部会世話人会において、近頃、クラウド、スマホ、SNS、ライン、ビッグデータ、ステマ、プリズム、イノベーション、情報共有等々、耳触りのよい、あるいは耳障りなはやり言葉が巷にあふれているが、それらには羊頭狗肉、古い酒を新しき革袋に盛った怪しげなものや剣呑なものが多いのではないかといった疑念が出されました。そこで一夕、それらのおさらい会を催し、参加者各位の自由討論により知見、経験を披瀝して、情報共有?を図り、その解釈と鑑賞を試みるのが有意義であろうとの結論になりました。~
このような趣旨で本年度第1回卓話会を下記の要領で開催しますので、老壮青各層会員とも積極的にご参加賜るようお願い致します。
-日時:2013年9月27日(金)18:00−19:30
-会場:鶴見大学(京浜東北線鶴見駅、京急鶴見駅)(詳細は後刻HP等にて告知)
-テーマ:近頃の情報知識環境 − 解釈と鑑賞
-話題提供:根岸正光(部会世話人、国立情報学研究所名誉教授)
-会場:鶴見大学1号館2F セミナー室2
(〒230-8501 横浜市鶴見区鶴見2-1-3)
-会場案内:JR京浜東北線鶴見駅西口下車徒歩5分、京急鶴見駅下車徒歩7分。~
JR鶴見駅西口から線路沿いに南方横浜方面にまっすぐお進みください。総持寺の参道入口が見えてきます。参道を30mほど進んだところの左側が鶴見大学文学部の建物です。参道左側の階段を上ると、セブンイレブンが見えますので、そこが1号館です。入るとエレベータホールがありますので2階へ。~
http://www.tsurumi-u.ac.jp/about/accessmap/
-参加申込:事前申込は不要ですが、参加予定の会員は、根岸(negishi_at_nii.ac.jp)および学会事務局(jsik_at_nifty.com)宛、連絡頂ければ幸いです(_at_は@と読み替えください)。
(シニア部会代表世話人:松村多美子、世話人:根岸正光)
*シニア情報知識学研究部会 2013年度第1回(通算第7回)卓話会報告 [#report]
本年度第1回シニア部会卓話会は9月27日18時から『近頃の情報知識環境―解釈と鑑賞』をテーマとして鶴見大学で開催された。出席11名。今回は、卓話会というより、昨今の情報知識環境について意見交換する懇話会といった体裁とし、まず話題提供として根岸がメモに基づき、近頃の情勢について次のようにまとめてみた。
まず、テーマにある「解釈と鑑賞」は、惜しくも休刊となった「国文学 解釈と鑑賞」誌からの借用であるが、この際、その元来の意義を確認しようと試み、ある大学の機関リポジトリ搭載論文によって、それが昭和初年の「日本文芸学論争」に由来することが分かった。今や調べ物は随分と便利になったものだと、情報知識環境の進化が実感されたところである。
この前口上の後、ガラスマ、SNS、LINE、ニコ生、ビッグデータ、ステマ、PRISM、イノベーション、情報共有等々、近時の多岐に亘るはやり言葉を材料として話を進めるため、それらを、(1)情報通信環境における、常時接続・高速化・無線化、(2)情報操作機器における、パソコンからスマホ、タブレット、ウェアラブルへ、(3)情報知識サービスにおけるパッケージからクラウドへ、といった流れで整理、紹介することを試みた。とくに、無料サービスとはいうものの、何らかの方法でmonetizingに結びつけなければならないという、その危うい性質;わが国における検索エンジン・シェアのGoogle独占状況;personalizationと称する「便利な」機能で、利用者は知らず知らずに業者側の設定したfilter bubble内に拘禁されるおそれ;クラウド・サービスをdefault設定のまま使って機密を大公開してしまう事故;また学術関係では、OA誌の進展に伴ってpredatory publication businessも発展していることなどを指摘した。
こうした状況に「解釈と鑑賞」を加えて総括すると、(1)昔からあるものを新しげな言葉で言い換え新規性を装い、同じことを各社別々に怪しげなカタカナ命名して独自性をうたうので解釈と鑑賞が厄介。さらにこうした言い換え自体を、もっともらしく「再定義」と言い換えるのもはやっている、(2)常時接続でつながってないと何もできないが、すると個人情報は筒抜けで、業者の設定した情報空間に封じ込められる、(3)只より高いものはないが、只でなくても危ない。知らせたいこと、知られたくないこと、知りたいことの間でのせめぎ合い、というあたりになるであろうか。
話題提供後の意見交換では、こうした情勢下で、果たして有効な図書館情報学や情報リテラシー教育は可能であるのか、情報知識関連の研究開発やビジネスはmoving targetを追い求めて水商売化してしまっている等々の議論で盛り上がり、20時前に一旦散会、鶴見駅前の居酒屋に会場を移して延長戦に入った。
さてこの記事をまとめる中で、昭和初年のモボモガ風俗に触発されたという今和次郎の考現学にならって、今こそ、『情報知識考現学』なるものを提唱する必要があるのではないかという思いに至った次第である。
(シニア部会世話人:根岸正光)