#title(情報知識学会誌, Vol.4)

* 情報知識学会誌, Vol. 4, Vol. 2 [#id472f0a]

** &size(12){情報知識学会誌, 1994, 4(2), 1-10}; [#x5dbb079]
** マルチメディアの著作権 &br; 名和 小太郎 [#qf3897f2]

 マルチメディア著作物の技術特徴は、コピー、変更、多数者への伝送、多数者からのアクセスが容易であること、オリジナルとコピーが区別できないことにある。これは在来の著作権制度の枠組みを大幅にくずすものである。

** &size(12){情報知識学会誌, 1994, 4(2), 11-18}; [#mc6ede21]
** 東西間の情報交流の基本問題:個別性と一般性の調和 &br; '''East-West Communication and Information Transfer -- Coordination of Specificity''' &br; 藤原 鎮男 [#z38e8b50]

 本邦の文化を基盤にして著者が近年関わっている三つの情報科学の課題を述べたい。その第一は、科学技術の全分野をカバーする基本用語リストの作成である。これは、我国の学者の過去300年の活動の上に立つもので、学問全体における情報流通と学術資源の共有への我国からの寄与である。
 第二は我国の文化財による情報学への寄与である。カタカナ、ひらがな、漢字の三種の文字からなる日本の文章は、情報学の視点で言えば、記号と、文字と、表意画像という情報の三つの要素を同時に持つ表現である。すなわち、これは情報処理の上では、ideographicとsymbolicと、 graphicという情報の三要素を同時処理することであり、それは情報学にとって新しく開拓すべき課題なのである。西欧に発した情報学に対する日本の伝統が提示する課題として、このことを挙げたい。
 第三に、現下の最も重要な社会問題として、そして、それ故に情報学にも重要な課題としてここに提示したいのは、安全保持・危機管理(safety contorol and risk management,SCRM)である。これは、個別な学問分野と一般性の情報学の協同を必要とすることであり、それは、分科した学問分野の上に立つ情報学にとって、自身の発展の道となるものであろう。

** &size(12){情報知識学会誌, 1994, 4(2), 19-29}; [#o8a4e81b]
** 地域、国家、グローバル情報基盤について &br; '''Global, National and Regional Information Infrastructure''' &br; 森 英夫 [#h2a3ff36]

 コンピュータネットワークを機軸として国家規模から地球規模へと拡大し、地域の情報基盤が形成されていく。
 この面で我国は、多少出遅れたが、近年各方面で、精力的にその構築が始動しだした。
 このネットワークに自由にアクセスすることが、地域にとっても、経済にとっても、また情報ドキュメンテーションにとっても非常に重要なことである。

** &size(12){情報知識学会誌, 1994, 4(2), 31-40}; [#l89a1584]
** 材料データシステムの統合化(2)メタデータの表現と管理 &br; 芦野 俊宏, 岩田 修一 [#t9bb5f96]

 材料データベースは、所在が分散しており、使用目的も多岐に渡るため、データ構造、運用形態などが様々である。このような複数の異種材料データベースを統合利用・運用するための方法論を提示することを目的として、クライアント/サーバ型のシステムを設計し、データ型の拡張、メタデータ管理、ユーザインターフェイスについての要件を定義し、プロトタイプシステムの開発を行った。 前報"材料データシステムの統合化(1)"では、異種の材料データベースを統合し、数値シュミレーションを関係型データベースの枠組みで扱うためのシステムのプロトタイプについて述べた。本論文では、材料データシステムにおけるメタデータ管理について述べる。 異種データベースを統合利用するためには、各々のデータベースに収められているデータを記述するメタデータをシステム内で管理し、これを元に必要なデータの変換を行なう必要がある。これを実現するために複数のデータベースサーバ(DS)とクライアントとの間にメタデータサーバ(MS)を置き、メタデータを集中管理し、これを用いてデータの変換を行なう手法を開発した。

** &size(12){情報知識学会誌, 1994, 4(2), 41-71}; [#kd39598d]
** 社会科学分野の学際性の測定:IBSSデータベースにおける理論的設定と現実との比較 &br; 松井 幸子, 岸田 和明, 高井 力 [#oe0cd092]

 本研究の目的は、社会科学諸分野において、既存の学問体系の理論的枠組みから仮定された学際性と、実際に存在する文献に見出される学際性とを測定し、それらの結果を比較することである。前者は、情報検索のための主題分析トゥールに反映されており、後者は、このトゥールが適用される書誌データベースから得ることができる。本研究の素材は、International Bibliography of the Social Scieces(IBSS)データベースと、その主題分析トゥールのThematic List of Descriptorsである。IBSSは、社会科学分野でもっとも包括的な書誌のひとつであり、経済学、政治学、社会学、文化人類学の4分野を対象としている。一方、Thematic Listで提示されているディスクリプタは、これらの4分野の分類体系を横断的に関係づける機能を持っている。したがって、IBSSの1981年版から 1985年版までに収録された文献135,160件とThematic List中のディスクリプタ6,486件を対象として、学際性の測定を行なった。その結果、社会科学の4分野間にはかなり強い学際的関係があることがわかった。とくに、社会学は、3,225件のディスクリプタのうちの92.5%が他の分野にも出現し、また、単行書7,938件のうちの30.0%、雑誌論文20,897件のうちの25.7%が他の分野にも重複して収録されており、他の3分野に比べてもっとも学際的であった。また、4分野を通して、理論的に設定された学際性の方が、実際に出版された文献の場合より高いことも明らかになった。

** &size(12){情報知識学会誌, 1994, 4(2), 73-79}; [#r1f2f13c]
** 古典人名データベース作成上の問題点 &br; 相田 満 [#fadfd0db]

 国文学研究資料館研究情報部データベース室では、「古典人名データベース」が作成されており、1993年5月現在、『国書総目録』に扱われる人名シソーラスデータの入力が完了した段階にある。 本データベースは、オンラインによる一般公開を前提としていることと、複数の違った目でデータ作りが進んでいることにも特色があるといえよう。本稿では、そうしたデータベースを形成する際に生じる問題、さらに、使用する文字種、データ形成方式にハードウェアの規格上の制約によるさまざまな配慮が要求されることについても焦点をあて、具体的にそれらの問題点の幾つかを紹介する。

** &size(12){情報知識学会誌, 1994, 4(2), 81-93}; [#v62e7498]
**『源氏物語大成』の品詞情報つきフルテキストデータベースの作成について &br; 上田 英代, 上田 裕一, 村上 征勝 [#nd0d94d8]

 本論文は、「源氏物語」の統計的手法を用いた計量分析を行なうために、『源氏物語大成』の品詞情報付きフルテキストデータベースを作成した過程での様々の成果と、いくつかの問題点について、今後の方向性も含めて明らかにしたものである。コンピュータを用いた文献の計量分析は端緒についたばかりであるが、データベース作成過程で試みた諸々の方法は今後も有効なものとなるであろう。


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