情報知識学会ニューズレター > No.37 (1996.4.1) > いよいよわが時代を迎える学会として

いよいよわが時代を迎える学会として

情報知識学会会長、東京大学名誉教授 藤原鎮男

平成8年度の始まりにあたり、会員各位にご挨拶を申し上げます。わが学会が発足して本年は8年目にあたります。発足以来、当時会長であられた米田さんほか全理事役員のお骨折りと、情報化時代展開の追い風を受けて、学会は順調に発展しました。下記のように、社会の付託に応える諸事業が定着し、学会としていよいよ発展の時期に入ったという感を持ちます。これは、全役員のご努力によることは勿論ですが、また会員の皆さんのご支援、ご協力のおかげであり感謝にたえません。この間、トッパンさんには事務局をお引き受けいただき、おかげで会務が滞りなく進み得、これまた心から御礼申し上げる次第です。

今日は、会長として会の活動の近状を申し上げ、わが学会の進むべき方向についての御理解といっそうのご支援を仰ぎたく思います。

現在本会が行っている事業には、年1回の総会のほか、定例の事業として、学会誌とニューズレターの発行および研究発表会の開催があり、これに加えて、時に応じての特別講演会、懇談会、研究会などがあります。

【国際会議】

本会は一昨年の1994年10月に、秋篠宮ご台臨のもとに大宮で行われた第47回FID(国際情報ドキュメンテーション連盟)国際会議を、日本学術会議ほか他の二学会との共催で行いました。この会議については藤原譲副会長から、本年10月オーストリーのグラーツで催される次回と合わせ詳細が述べられると思いますが、この会議では、情報学の手段、方法、市場、研究開発の現状などについて、内外の代表的研究者から、最新の進歩の現状が報告されました。本学会も、この会議の成功にむけ、直接、間接に協力し、公器である学会としての責務を果たし、社会に寄与し得たと考えております。

さらに本会は、この会議において本会の自主的企画として、特別部会「SCRM: Safety Control and Risk Management」を主宰しました。これは、我々がかねてから主張して来た、「情報学基盤による安全管理システムの開発は時代の急務である」という認識に基づくものであります。世界は、すでにこの問題について、多大の努力と実績を積んでいるのであります。それで、この特別部会には、この分野の世界的権威であるラスムッセン博士(丁)、航空機その他の世界企業であるユナイテッド テクノロジー社の情報部長であるジーン メイヒュー博士(米)、FIDの環境情報部会長のガム博士、国連労働機構(UNIDO)前部長の藤田慶喜博士らが参加し発表されました。わが国からは、国会図書館の安江明夫氏、千葉大の善国信隆博士が酸性紙問題を、神奈川大の杉谷嘉則教授、天野力助教授、武井尊也氏が「揺らぎ情報の安全管理上の意義」、南雲夏彦氏が「将棋棋譜における揺らぎ解析」の題目で研究発表をされました。

実にこの数ヶ月あとに我々は、神戸の災害、サリンの災変を経験することになりました。それは我々に、安全研究の必要の認識をあらためて求める事件でありました。この特別部会における発表は、会誌の特集号として印刷され会員各位にお届けしました。

このFIDの会議では本会はもう一つ大きな仕事をしました。それは、「地方公共団体の活動における情報の意義」を主題とした特別部会を埼玉県と共同で開催したことであります。埼玉県のみならず、三菱電気の森英夫博士が基調報告をされ、国の内外を見るとき、現状は憂慮すべき立ち後れであると指摘されました。その後の災害や事件は正にそれが現実となったのであります。しかし、そういう中で、地道な努力が進行していて、すでに成果もある事実が横浜市、兵庫県、環境庁から発表されました。

情報ネットワークというと、ややもすれば、中央主導の情報ネットワークの形成が主たることになりがちですが、実はデーターを持つローカルなサイドの活動が鍵なのであります。立場を異にする各機関からの開発研究の現状報告は現場サイドがネットワークを形成し、有効な活動をしようという努力が既に始動していることを窺わせる報告であり、甚だ有益な会議であったと思います。FID本部もこの部会の企画については当初からを評価し、ラウノ会長、レーデゲブア事務局長も全報告を聴講し、質問、意見を述べ、後でもたいへん評価し、本部としてもフオローアップしたいと言っておりました。ここでの報告も会誌特別号として皆様にお届けしました。

【学会誌】

学会誌は会員にとって最も大切な発表の場であります。すでに各位から重要なご寄稿を頂き、ご支援のほど感謝に堪えません。これについて、とくに申し上げたいことは、本学会自身が本誌の編集、刊行にSGMLを取り入れて、学会誌の刊行の開発研究と試行を行っていることであります。実は、我々はその過程で得られた経験と成果を非公式に、刻々、他学会の学会誌の編集に応用することを試みております。これは我が学会が実質的に学術社会に最近年行った寄与であろうと思います。ただ遺憾ながら、これは、わが会誌の刊行の遅れを引き起こしたことは事実であり、あい済まぬことと衷心よりお侘び申し上げます。たいへんご苦労をおかけした根岸、芦崎、石塚各理事には衷心より、お骨折りを多とする次第であります。ただし、この点については既に対応が進んでおり、正常のスケジュールに戻りつつありますので、会員各位におかれましては、今しばらくのご宥恕を賜りたく、そして、ぜひとも今後なお一層奮ってご投稿くださるようお願い致します。

【ニューズレター】

これは、長瀬真理氏(前)、後藤智範(現)編集委員長の下で、全委員が大奮闘をして下さったお蔭で、充実した内容で年間6回の刊行を果たしつつあります。会の連絡誌としての使命のほか、会員諸氏からの、情報学に関わる御意見の紹介、共同、協力の呼びかけなど、今後とも、ニューズレターは、会員間の会話の場としていっそうの努力を続けたいと思います。とくに、新年度からは、会告を充実させることと、皆様から現在本部に寄せられているニフテイーサービス上の御意見も載せ、会員の交流の場とすることも考えております。いっそうのご協力を切に期待いたします。

【特別講演会、研究部会】

理事会はこのほかに、特別講演会や研究部会を実施しています。この二年の間に、「知的所有権に関する特別講演会」を二度開催し、盛会、好評でありました。

また、昨年7月には国際科学振興財団と共催で安全管理に関する特別講演会を開催しました。これは、前記の一昨年の、FIDとの共催による同名の会議の継続として行った企画であります。幸い、わが国の国土庁、環境庁、通産省の研究者の発表のほか、OECDの経済・環境部部長ブライアー博士、米国大使館書記官クンツ博士、災害対応庁(FEMA)フレッチャー部長、環境庁(EPA)化学危機管理部長マクリス部長、デラウエア大学安全研究所前所長ダインズ教授、英のロンドン大学医学部精神病医学科のトンプソン博士、それに昨年に続くデンマークのラスムッセン教授の出講を得ました。これらの発表もすべて会誌特別号として全会員にお伝え致しました。

我々は研究部会として、既に次の活動を行っております。

さらに、現在下記の事業の発足を予定しております。これらは本会独自の学会活動として社会に貢献するでありましょう 

【その他】

本会は日本学術会議に会員をおくり得る認定学会の資格をすでに満たし、現在、その手続き中であります。

また、本年はわが国でCODATAの国際会議が筑波で10月に開催の予定でありますのでこれにも主催団体の一つとして参画の予定であります。

CODATAの対象とする分野は、わが学会にとっても重要な分野であり、会員諸賢の積極的な参加・協力を望んでやみません。とくに付言すれば、日本コデーター協会は本会が発足する時、その母体となった団体の一つでありました。積極的に後援し、成功を期したいと思います。

データーベース構築、システム管理、情報ネットワーク、そしてこれらの基礎となる用語の整備、分類の体系化などは、本学会にとって今後いっそう努力すべき活動目標であります。これに関連して取り上げるべき具体的主題をぜひとも会員諸氏から承りたいと思います。とくにマルチメデイヤの行方に対しても適切な方向指針を世に示すよう努力したいものであり、たとえば、この方面で指導的立場に立っておられる方々の講演や、今後関わりが大と考えられる方々の懇談会なども企画したいと思います。

さしあたっては、来る5月25日の総会には、凸版印刷(株)専務の藤井晶博氏に特別講演として「マルチメデイヤ時代の企業活動について」お話し頂く予定であり、奮って御参会願いたくおもいます。

以上、会の現状と、当面する課題を述べました。学会の発展は、皆さんご自身の発展でもあります。その実をあげるため、皆さまのいっそうの御協力、御支援を願ってやみません。

平成8年3月31日

最終更新日: 2018-04-27 (金) 11:31:26

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