情報知識学会 月例懇話会 2003 年 9 月

日時
2003年9月18日(木曜日)午後6時半−9時
場所
世界貿易センタークラブ 
講師
多良島哲氏(東京国立博物館・情報課情報管理室長)
話題
情報知識学会:人文・社会科学系部会の活動と今後の構想
話題
情報知識学会・学会誌についての要望

 情報知識学会人文社会科学系部会は、安澤秀一氏(当時:駿河台大学教授)が歴史研究にパソコン利用を図ろうということで、1989年に立ちあげられ、今日に至っている。この間、「歴史研究と電算機利用ワークショップ」が計 19回開催され、歴史研究者のあいだに、パソコンの利用を広く啓蒙する役割を果たしてきた。

 最初はパソコンを史料保存にどう役立てることができるかといった初歩的なことから始まり、全国に分散する史料が、少数の歴史研究者や専門家のみならず、広く利用されるようにするため、コンピュータ・ネットワークの利用の重要性が認識され、電子化された史料の流通に関心が高まっていった。そして、ウエブの利用が簡単に利用できるようになるに及んで、史料情報の流通に関して実験的な試みがなされるようになった。 やがて、関心は史料の標準化へと向かい、現在はXMLの応用などに研究が進んでいる。 

 1995年、多良島氏らが中心になって、パソコン通信のニフティサーブが用意した「ホームパーティー」というメッセージボードを利用した史料情報の電子化と標準化を考える会員制の集まりが開始され、あっというまに50名が集まり、年々その数を増していった。 ここでは、会員が史料情報の保存、流通や標準化などの問題について活発に意見交換が行われ、盛り上がりを見せた。顔をあわせたこともない人たちと自由に話ができることに新鮮さを覚えたという。

 このようなコンピュータを利用した史料情報の有効活用の努力がなされたにもかかわらず、歴史研究者や専門家のあいだでは、自分が大事にしている貴重な歴史文献が不特定多数の人たちに利用されることをいさぎよしとしない保守的な傾向は依然として続いている。ある研究者にとっては、一つの文献がかけがえのない重要性を持っており、一般的にわが国の歴史研究(外国でもそのような傾向は強い)は、史実を横断的に研究するよりは、ある出来事や文献を中心とする「点」の研究が主流である。

 しかし、史料情報が広く流通し、利用されるようになるということが、今後の歴史研究の流れを変える契機になる可能性も高い。

 また、専門的な歴史研究者以外の歴史に関心を持つ人たちに便宜を図ることにもなっていく期待は大きいといえよう。

最終更新日: 2011-01-19 (水) 14:55:22

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