メールマガジン 53 号

☆★☆ 情報知識学会 メールマガジン ☆★☆ 2012.1.27 ☆★ No.53

 情報知識学会 メールマガジン 読者の皆様!

メールマガジン1月号をお届け致します。

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 1 月号 C O N T E N T S (目次)
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 ◇◆2012年・年頭所感(根岸会長)◆◇
 ◇◆役員選挙の投票をお願いします。2月7日締切◆◇
 ◇◆情報知識学会役員選挙 選挙管理委員会からのお知らせ◆◇
 ◇◆年次大会のお知らせ 第一弾!◆◇
 ◇◆学会誌編集委員会の体制変更について◆◇
 ◆◇部会から:第1回「知識・芸術・文化情報学研究会」報告◆◇
 ◇◆関連行事のご案内◆◇
   【JST SISTセミナー】1月30日
   【シンポジウム「文化情報の整備と活用」】2月2日
 ◇◆その他のご案内◆◇
   【いきいき研究室増産プロジェクトFORUM2012】

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◇◆ 2012年・年頭所感 ◆◇

     情報リテラシー再考 − 災害情報と都市伝説
                           会長 根岸正光

 東日本大震災では、その際の情報伝達の不備不全について、様々な批判や反
省が新聞記事などに取り上げられた。伝達手段の被災による通信の途絶という
問題の他に、通信経路が健全でも、肝心な情報が適時に伝えられなかったとい
う情報内容に関する問題の指摘も多く、一様に「情報の重要性」を説く論調に
なっている。しかし、あと知恵であれこれ指弾するのは容易としても、実際、
その場その時に合わせて何が重要でかつ信頼できる情報であるのかを迅速的確
に判別してゆくのは、発信者側のみならず、受信者側にとってもいかに難しい
ことであるか、この点が、そうした批判的記事を通してかえって明らかになっ
ているように感じられる。

 さて震災とは別の話だが、先頃、(財)地図情報センターで、地理・鉄道史の
井口悦男先生による明治初期のわが国の鉄道網発達史に関する講義を聴く機会
があった。JR中央線は大久保から先、立川まで一直線の線路になっている。こ
の路線選定に関連して、「これは甲州街道府中宿の住民が、蒸気機関車の吐く
火の粉で火事になる等々と反対運動をしたためで、やむなく人家もまれな畑の
中に一直線に線路を敷設した」という誤伝が、今の大学生にまでまことしやか
にはびこっており、困っているとの話があった。いわゆる「鉄道忌避伝説」で
ある。

 情報の伝達、受容の観点から興味をひかれ、改めて青木栄一「鉄道忌避伝説
の謎」(2006年、吉川弘文館)や竹内正浩「鉄道と日本軍」(2010年、ちくま
新書)を見てみた。昔の蒸気機関車ではちょっとした坂でも登れない。かといっ
て長いトンネルは掘れないし、また広い川に鉄橋を架けるのも難しい。要する
に当時の路線の選定には今と違って技術的な制約が非常に大きい。さらに西南
戦争以降、幹線鉄道は、各地での内戦に対する防備のため、またその後の日清、
日露戦争に際しても、つまりは兵員武器輸送という軍事目的を主眼に急いで国
策的に敷設されたので、上記の技術的制約に加えて工期と経費を勘案して最適
の路線が選定された。

 従って、今でいう住民運動の鉄道忌避など、例えあったにしてもそもそも政
府当局の眼中にないのである。しかも前掲書によれば、鉄道忌避を裏付ける陳
情書等、確かな史料は一切見つかっていない。この伝説の伝説たるを立証する
には、歴史学、地理学に加えて鉄道技術史という工学知識を総合した研究が必
要で、伝説の否定は容易でなかったとのことである。またこの伝説の流布には、
小中学校における社会科副読本の郷土史の授業によるところが大きかったと、
伝播の過程も説明されている。

 しかし、ともあれこうした総合研究が進展した結果、鉄道史の分野ではここ
数十年でこの伝説が明確に否定されたにもかかわらず、今の学生にまでこれが
根強く継承されているのはなぜか。昨今はブログなどを通じてこの伝説はかえっ
て拡大再生産されているような状況にもある。そこで、これはもはや歴史、地
理、技術史の問題ではなく、社会心理学や情報知識学の問題であろうと思い至っ
た。鉄道忌避伝説はいわゆる都市伝説の一種であるが、オカルト趣味のパワー・
スポットなど、冗談めいたものとは違い、いかにも史実風であって、物知り顔
で他人に吹聴したくなるような内容であるところに、その根強さの要因がある
ように思われる。

 元来われわれは自分の意にかなう意見、主張の情報のみを選択、受容し、反
対論には目をそむけがちである。災害情報と異なり、全く切迫性のない鉄道忌
避伝説でも上述のような状況であるから、災害情報では情報の選好受容性はな
おさら強く現れるであろう。また、インターネット・メディアではこの傾向が
一層増強されるようで、その見かけ上の開放性とは裏腹に、個人別には極めて
閉鎖的、保守的な情報空間が形成されがちである。

 鉄道忌避伝説は、図らずもこのような情報知識の内容と、その伝搬流布の態
様との強い相関性を改めて思い起こさせてくれた。災害などに際するうわさの
発生、伝搬、変形については社会心理学的研究が以前からあるが、ここに情報
操作のおそれなしとしない「大本営発表」なども加わるとなると、情報の受け
手側における情報評価の問題はさらに複雑になる。このあたりは情報内容、発
信源、メディア、受信者等の特性、諸相を含めて、まさしく情報リテラシーの
観点から改めて総合的に検討されるべきものではないか。スマホやツイッター
などで情報の受発信がますます加速、増幅、拡散される今日的状況に即して、
こうした情報知識学的研究の進展が必要であると痛感したところである。

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◇◆ 役員選挙の投票をお願いします。2月7日締切 ◆◇

 平成24-25年度役員選挙は1月15日に公示されました。投票締切は2月7日です。
会員の皆様におかれましては、是非ともお手元のハガキに記名のうえ、郵送に
よる投票をお願いします。

 主な日程
  ☆公示    :  1月15日
  ☆投票用紙発送:  1月15日
  ★投票  締切:  2月 7日(必着)
  ☆開票    :  2月10日
  ☆理事会 報告:  2月 中
  ★総会  承認:  5月  (予定)

                               〜選挙管理委員会委員長 神立孝一

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◇◆ 年次大会・実行委員会から ◆◇

◇情報知識学会・第20回(2012年度)年次大会(研究報告会&総会)
 現在、開催準備中です。

 ◆実行委員長  松村 敦(筑波大学)
  実行副委員長 大槻 明(お茶の水女子大学)
  実行委員   宇陀則彦(筑波大学)
         堀 幸雄(香川大学)
 ◆日 時: 2012年5月下旬頃
 ◆会 場: 筑波大学 筑波キャンパス、または、東京キャンパス(大塚)

  ※お問い合わせは: jsik-2012@slis.tsukuba.ac.jp

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◇◆ 学会誌編集委員会の体制変更について ◆◇

 メールマガジン11月号にも報告がありましたように、平成23年度第二回常務
理事会において、国沢先生(東京理科大)から芦野(東洋大)へ、学会誌編集委員
長を交代することとなりました。副委員長は若手にお願いしたいと考え、梶川
先生(東大)にお引き受け頂きました。

 1月に国沢先生より引き継ぎを受けましたが、この際編集委員会を若手中心
に強化する方向で合意し、専門分野などを勘案してただいま候補者への依頼を
行っているところです。

 また、投稿規定や承諾書などの書式の見直しも進めております。体制の変更
によって作業の遅滞などあるかもしれませんが、何卒ご寛恕のほどお願い致し
ます。国沢先生の下で電子化、J-Stageへの掲載も実施され、投稿論文数も順
調に増えて参りましたが、今後とも学会誌の向上にご協力をお願い致します。

                   (編集委員会委員長:芦野 俊宏)

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◆◇部会から:第1回「知識・芸術・文化情報学研究会」報告◆◇
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 ◇日 時: 2012年1月21日(土) 11:00〜17:30
 ◇会 場: 立命館大学大阪キャンパス(大阪富国生命ビル5階)
 ◇主 催: 知識・芸術・文化情報学研究会
 ◇共 催: 情報知識学会関西部会
       アート・ドキュテーション学会関西地区部会
 ◇協 力: 立命館大学グローバルCOE
       「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ」拠点
 ◇参加者数:29名

 情報知識学会関西部会はアート・ドキュメンテーション学会関西地区部会と
連携し、主に若手の発表の場を提供しようというコンセプトのもと、上記研究
会を開催した。
 当初13:30開催を考えていたが、応募件数が15件と予想より多く、急遽開催
時間を早め、11:00からとした。しかし、これでも13発表を組み込むのがやっ
とで、残りの2件の応募は断らざるを終えなかった。
 29名の参加者の内、懇親会には24名が参加し、こちらも盛会となった。来年
度もアート・ドキュメンテーション関西地区部会と協力して、この研究会を開
催できればと考えている。
                  文責:田窪直規(関西部会担当理事)

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◆◇関連団体行事のご案内◆◇
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【SISTセミナー】 1/30, 3/9, 3/10

 SISTセミナー1(東京)
  日時:2012年1月30日(月)15:00〜17:00
  場所:科学技術振興機構 東京本部 JSTホール(地下1階)
     〒102-8666 東京都千代田四番町5-3 サイエンスプラザ
     TEL 03-5214-8456 (SISTセミナー事務局)
  演題:より良い学術雑誌編集・発行のための基準と実際
     −SISTなど編集と発行で留意すべき点と雑誌XML化について−
  講師:時実象一(愛知大学文学部教授;情報知識学会理事)

 (詳細・問い合わせ先)
    → http://sist-jst.jp/seminar201201/youkou.html

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【シンポジウム「文化情報の整備と活用
        〜デジタル文化財が果たす役割と未来像2012」】
   詳細URL: http:/www.digital-heritage.or.jp/symposium3/index.html

  日時:平成24年2月2日(木)13:00 〜 18:00(12:30開場)
  場所:丸の内・丸ビルホール
     東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビル7階
  主催:一般財団法人デジタル文化財創出機構

  (シンポジウム プログラム)
   [第一部] セッション「文化情報の整備と活用」
    13:00 開会挨拶
        本田牧雄 一般財団法人デジタル文化財創出機構 代表理事
    13:10 キーノート
        「デジタル文化財が果たす役割と未来像」
        (青柳正規:独立行政法人国立美術館 理事長
              一般財団法人デジタル文化財創出機構 業務執行理事)
        「資料のディジタル化と国立国会図書館」
        (長尾 真:国立国会図書館長
              一般財団法人デジタル文化財創出機構 顧問)
    13:40 ゲストスピーチ
        「日本文化とその継承・発信 〜世界と日本、アジアと日本」
        (青木保:文化人類学者/独立行政法人国立美術館国立新美術館長
             /青山学院大学大学院特任教授)
    14:00 最新事例/動向報告
        「情報技術と人文科学 〜デジタルヒューマニティーズの世界動向」
        (八村広三郎:立命館大学情報理工学部メディア情報学科教授
               /立命館大学アート・リサーチセンター センター長)
        「無形文化遺産の国際課題とその動向 〜“世界/アジア”と日本」
        (大貫美佐子:独立行政法人国立文化財機構アジア太平洋無形
               文化遺産研究センター副所長)
        「デジタル文化財情報の教育現場での活用」
        (籔内佐斗司:東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学
               保存修復彫刻研究室教授)
        「文化情報の整備と活用戦略」
        (吉見俊哉: 東京大学大学院情報学環 教授・副学長)
   [第二部] 文化情報の整備と活用「100人委員会」総会
    15:35 「100人委員会」発足と討議
        ※一般の方も[第一部]より引き続きご聴講いただけます。
        ※「文化情報の整備と活用『100人委員会』」は、ミュージアム、
         公文書館、図書館、大学・教育機関、企業、自治体など、
         「文化情報の整備と活用」領域に携わる有識者・研究者など
         で構成される、当機構の活動テーマをより深く論議する場で
         あり、社会的理解を深め支援いただく応援団です。
         この[第二部]では、「100人委員会」メンバーを中心に、この
         領域における各種の課題・展望について討議・共有を行います。
         100人委員会メンバー以外の一般の方々も[第一部]と[第三部]
         同様に聴講参加いただけます。
   [第三部] ゲストスピーチ2
    17:30  「日本文化とその伝達 〜東大寺総合文化センターの目指すこと」
        (森本 公誠:東大寺長老、東大寺総合文化センター総長)
    18:00 閉会

 (詳細・問い合わせ先)
    → http:/www.digital-heritage.or.jp/symposium3/index.html

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【その他の情報】
 ◆下記情報も届いています。ご関心のある方は詳細URLをご参照下さい。

 ◇いきいき研究室増産プロジェクトFORUM2012
  企画:「大学研究室運営ワーキンググループ」
  「大学研究室運営ワーキンググループ」は全国の有志の大学教員・院生・
  職員による、研究室の研究・教育活動の質をさらに向上させるための活動です。
  ※参照URL: http://www.ikiiki-lab.org/

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◇◆編集後記◆◇

 2012年も一ヶ月が過ぎようとしてます。関東でも広い範囲で積雪あり、まさ
に冬本番といったところでしょうか。震災の影響も色濃かった2011年も去り、
新しい春を待ちわびる心持ちにも、かすかな芽吹きを感じられればと思います。
本年も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

   ご意見、ご感想の宛先: jsik@nifty.com
            (メールマガジン 1月号 担当: 高久 雅生)
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最終更新日: 2012-01-27 (金) 14:27:08

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