開始行:
#title(情報史の概念と情報学 -- 情報知識学会ニューズレター...
[[情報知識学会ニューズレター>newsletter]] > [[No.33 (1995...
*情報史の概念と情報学 [#qc0068ac]
RIGHT:愛知淑徳大学文学部 村主朋英
**1 はじめに [#kf8cfe40]
情報学は従来,分野としての基盤整備を急ぐ必要がある一方,...
その意味で,「情報史」の概念およびその研究の戦略を提案し...
図書館情報学の文脈に身を置いていない方には,これは意外か...
しかし筆者は,情報学という学術研究領域を背景として,組織...
最近の論文で,そうした点を詳論し,情報学全体の枠組みの問...
**2 Stevensの構想 [#h6aeaaa7]
***2.1 情報史の概念 [#z506d5bc]
Stevensは「情報史」という語の定義を明確なかたちでは示して...
彼の考える情報史の研究とは,これまで一定の領域で系統的に...
こうして,単に情報技術や情報サービスの系譜を描くものでは...
***2.2 Stevensの枠組み [#h077536c]
Stevens論文の本体は情報史研究領域を構築する際に有用な既存...
まず情報史の全体像を示すための基本的な時代区分は先史時代...
こうした通史を補うために,彼は各論に焦点を置いたアプロー...
さてStevensは,種々の分野の著作をレヴューし,コヒーレント...
そこで筆者は,Stevensの構想を掘り下げ,情報史研究のための...
それらの検討内容を次に紹介する。
**3 情報史研究のあり方 [#od738cef]
***3.1 情報史研究の要件 [#v773d6cd]
Stevensはむろん言及していないが,日本語文献にいくつか情報...
近年,歴史の専門家の手による著作が増加しており,歴史全般...
そうした視点の著作の価値は後述するが,しかし歴史の探求の...
一方,松岡正剛監修の年表(5)は,大変な労作である。これはも...
ただ,当然ながら情報や情報史に関する論考として提示された...
こうした点から,これを情報史の範例と見なすことはできない...
このように,情報史研究は情報に関わる諸問題への取り組み方...
***3.2 情報化社会論の歴史観 [#j45cb611]
情報に関するヴィジョンは,情報史に属する歴史叙述を特徴づ...
ここで想起されるものに情報化社会論がある。これは情報と文...
まず中心的な産業を基準に農業・工業・情報産業の三つの時代...
これに対しStevensは,“情報はさまざまな形態を取りながら人...
むろん「現代は今までで最も情報による影響の強い社会である...
政治・経済体制の変遷をたどり,その主因をピックアップしな...
Stevensのテーゼは,情報化社会論のように歴史認識を予め統御...
***3.3 「情報史観」の着想 [#ie1d58a7]
Stevensの構想から,情報史の歴史観について,歴史に関する見...
北川は,図書館情報学系統の情報学の成立と同時期の1960年代...
この着想のもとでは,情報に関する研究成果の全体が情報史研...
この北川敏男の着想をそのまま「情報学」の文脈に持ち込めば...
***3.4 情報史研究の戦略 [#td9ebf47]
こうして,事は情報史という領域にとどまらず,情報学全体の...
しかし,依然として残るのは,「そこでいう情報学とはなにか...
そもそも「情報学とは」という問題に関する議論は,情報学の...
第一論文(2)では,そうした状況の解決へ向けた理論的な営為と...
情報学という分野の安定を待ってから始めるのでは,なかなか...
さらに第二論文(3)では,「情報学の歴史」を情報史の戦略的な...
しかし,このような戦略にもとづいて個別の情報論を個別に歴...
かといって,それら多様なものを一定の視点から統合しようと...
**4 情報史の枠組み [#g714e3f6]
***4.1 情報史の多面性 [#waa43729]
前章で,情報に関する観点の多様性を許容することにより,情...
情報史の対象は,素朴に捉えれば「情報」である。しかし情報...
こうした多様な要素が織りなす情報史の全体像は,単一の観点...
つまり,情報史対象が多様であるとか,それを眺める観点が多...
***4.2 情報史の五つの側面 [#o809e8d3]
第一論文(2)では,情報史に関わる既存の著作を類別し,その主...
A:情報を扱う道具・方法・機関の歴史
B:情報に関する考え方・概念・理論の歴史
C:コミュニケーション/人間や集団の相互作用の歴史
D:人類の社会・文化および自然環境における情報・情報...
E:人類が蓄積・継承してきた知識の歴史
このグルーピングは,総合的な情報史の歴史像を描くために網...
とくに,近年,コミュニケーション研究と情報学という相異な...
コミュニケーション史は今日,めざましい進展を見せている(9)...
このCとEの並立を含め,上記の著作グループを生み出す相異...
グループAで表されるような,技術や機関にのみ関心を持つ視...
最近の情報史関連の著作の中で,桂英史(10)は図書館情報学の...
多面的な情報史の歴史像を追究するためには,さまざまな情報...
***4.3 情報史研究と情報の研究 [#gba915ef]
以上の考えから,情報史とは情報機器や情報サービス活動,あ...
こうした作業によって得られる歴史像(あるいは,筆者の考え...
ここまでくると情報史は,歴史学にならった仮説の検証などに...
筆者は現在,こうした考えから,「情報空間」という語の多様...
このように,情報史は,情報学の理論的研究の諸成果が歴史研...
**5 結び [#p96bd4c0]
情報史研究とは,情報およびコミュニケーションの過程に関す...
結局のところ,情報史は情報現象の総体に対する,包括的なア...
このほかにも,Stevensの構想に基づく情報史研究の意義は以下...
(1)歴史学的方法に基づく情報研究として。情報に関わる社...
(2)情報学という分野の成立に対する意義。
情報学,もしくは学際化された情報研究領域の統合のために,...
「多様な現象のうち,どれが情報の問題に深く関わる現象なの...
(3)情報の機能,そして情報の本質を考究する際に,具体的...
こうした点を鑑みて,情報史に関心を持つ多様な領域の者を巻...
情報史の著作は,今までどおり各種の学会や各種の文献にぽつ...
さしあたって,関連文献の書誌(データベース)を共同作成す...
このような組織について,大学の同僚とともに構想を練りはじ...
-(1) Stevens, N. D. The history of information. Advances...
-(2) 村主朋英. 情報史のための枠組みと方法論. Library and...
-(3) 村主朋英. 情報史研究の戦略:情報史における情報学史...
-(4) Machlup, Fritz; Mansfield, Una, eds. The Study of I...
-(5) 編集工学研究所編. 情報の歴史. 松岡正剛監修. 東京,...
-(6) 北川敏男. "文明の歴史像:情報史観へのプロレゴメナ"....
-(7) Vakkari, Pertti. Library and information science: i...
-(8) Ruben, B. The communication-information relationshi...
-(9) Crowley, David; Heyer, Paul, eds. Communication in ...
-(10) 桂英史. インタラクティヴ・マインド:近代図書館から...
-(11) 吉田民人. 自己組織性の情報科学. 東京,新曜社,1990...
-(12) 吉田民人. 情報と自己組織性の理論. 東京,東京大学出...
-(13) 室井尚. 情報宇宙論. 東京,岩波書店,1991. 228p.
-(14) 村主朋英. 情報空間という語の用例の分析:情報学のた...
-(15) 村主朋英. 情報・ドキュメンテーション年表. 情報の科...
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#title(情報史の概念と情報学 -- 情報知識学会ニューズレター...
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*情報史の概念と情報学 [#qc0068ac]
RIGHT:愛知淑徳大学文学部 村主朋英
**1 はじめに [#kf8cfe40]
情報学は従来,分野としての基盤整備を急ぐ必要がある一方,...
その意味で,「情報史」の概念およびその研究の戦略を提案し...
図書館情報学の文脈に身を置いていない方には,これは意外か...
しかし筆者は,情報学という学術研究領域を背景として,組織...
最近の論文で,そうした点を詳論し,情報学全体の枠組みの問...
**2 Stevensの構想 [#h6aeaaa7]
***2.1 情報史の概念 [#z506d5bc]
Stevensは「情報史」という語の定義を明確なかたちでは示して...
彼の考える情報史の研究とは,これまで一定の領域で系統的に...
こうして,単に情報技術や情報サービスの系譜を描くものでは...
***2.2 Stevensの枠組み [#h077536c]
Stevens論文の本体は情報史研究領域を構築する際に有用な既存...
まず情報史の全体像を示すための基本的な時代区分は先史時代...
こうした通史を補うために,彼は各論に焦点を置いたアプロー...
さてStevensは,種々の分野の著作をレヴューし,コヒーレント...
そこで筆者は,Stevensの構想を掘り下げ,情報史研究のための...
それらの検討内容を次に紹介する。
**3 情報史研究のあり方 [#od738cef]
***3.1 情報史研究の要件 [#v773d6cd]
Stevensはむろん言及していないが,日本語文献にいくつか情報...
近年,歴史の専門家の手による著作が増加しており,歴史全般...
そうした視点の著作の価値は後述するが,しかし歴史の探求の...
一方,松岡正剛監修の年表(5)は,大変な労作である。これはも...
ただ,当然ながら情報や情報史に関する論考として提示された...
こうした点から,これを情報史の範例と見なすことはできない...
このように,情報史研究は情報に関わる諸問題への取り組み方...
***3.2 情報化社会論の歴史観 [#j45cb611]
情報に関するヴィジョンは,情報史に属する歴史叙述を特徴づ...
ここで想起されるものに情報化社会論がある。これは情報と文...
まず中心的な産業を基準に農業・工業・情報産業の三つの時代...
これに対しStevensは,“情報はさまざまな形態を取りながら人...
むろん「現代は今までで最も情報による影響の強い社会である...
政治・経済体制の変遷をたどり,その主因をピックアップしな...
Stevensのテーゼは,情報化社会論のように歴史認識を予め統御...
***3.3 「情報史観」の着想 [#ie1d58a7]
Stevensの構想から,情報史の歴史観について,歴史に関する見...
北川は,図書館情報学系統の情報学の成立と同時期の1960年代...
この着想のもとでは,情報に関する研究成果の全体が情報史研...
この北川敏男の着想をそのまま「情報学」の文脈に持ち込めば...
***3.4 情報史研究の戦略 [#td9ebf47]
こうして,事は情報史という領域にとどまらず,情報学全体の...
しかし,依然として残るのは,「そこでいう情報学とはなにか...
そもそも「情報学とは」という問題に関する議論は,情報学の...
第一論文(2)では,そうした状況の解決へ向けた理論的な営為と...
情報学という分野の安定を待ってから始めるのでは,なかなか...
さらに第二論文(3)では,「情報学の歴史」を情報史の戦略的な...
しかし,このような戦略にもとづいて個別の情報論を個別に歴...
かといって,それら多様なものを一定の視点から統合しようと...
**4 情報史の枠組み [#g714e3f6]
***4.1 情報史の多面性 [#waa43729]
前章で,情報に関する観点の多様性を許容することにより,情...
情報史の対象は,素朴に捉えれば「情報」である。しかし情報...
こうした多様な要素が織りなす情報史の全体像は,単一の観点...
つまり,情報史対象が多様であるとか,それを眺める観点が多...
***4.2 情報史の五つの側面 [#o809e8d3]
第一論文(2)では,情報史に関わる既存の著作を類別し,その主...
A:情報を扱う道具・方法・機関の歴史
B:情報に関する考え方・概念・理論の歴史
C:コミュニケーション/人間や集団の相互作用の歴史
D:人類の社会・文化および自然環境における情報・情報...
E:人類が蓄積・継承してきた知識の歴史
このグルーピングは,総合的な情報史の歴史像を描くために網...
とくに,近年,コミュニケーション研究と情報学という相異な...
コミュニケーション史は今日,めざましい進展を見せている(9)...
このCとEの並立を含め,上記の著作グループを生み出す相異...
グループAで表されるような,技術や機関にのみ関心を持つ視...
最近の情報史関連の著作の中で,桂英史(10)は図書館情報学の...
多面的な情報史の歴史像を追究するためには,さまざまな情報...
***4.3 情報史研究と情報の研究 [#gba915ef]
以上の考えから,情報史とは情報機器や情報サービス活動,あ...
こうした作業によって得られる歴史像(あるいは,筆者の考え...
ここまでくると情報史は,歴史学にならった仮説の検証などに...
筆者は現在,こうした考えから,「情報空間」という語の多様...
このように,情報史は,情報学の理論的研究の諸成果が歴史研...
**5 結び [#p96bd4c0]
情報史研究とは,情報およびコミュニケーションの過程に関す...
結局のところ,情報史は情報現象の総体に対する,包括的なア...
このほかにも,Stevensの構想に基づく情報史研究の意義は以下...
(1)歴史学的方法に基づく情報研究として。情報に関わる社...
(2)情報学という分野の成立に対する意義。
情報学,もしくは学際化された情報研究領域の統合のために,...
「多様な現象のうち,どれが情報の問題に深く関わる現象なの...
(3)情報の機能,そして情報の本質を考究する際に,具体的...
こうした点を鑑みて,情報史に関心を持つ多様な領域の者を巻...
情報史の著作は,今までどおり各種の学会や各種の文献にぽつ...
さしあたって,関連文献の書誌(データベース)を共同作成す...
このような組織について,大学の同僚とともに構想を練りはじ...
-(1) Stevens, N. D. The history of information. Advances...
-(2) 村主朋英. 情報史のための枠組みと方法論. Library and...
-(3) 村主朋英. 情報史研究の戦略:情報史における情報学史...
-(4) Machlup, Fritz; Mansfield, Una, eds. The Study of I...
-(5) 編集工学研究所編. 情報の歴史. 松岡正剛監修. 東京,...
-(6) 北川敏男. "文明の歴史像:情報史観へのプロレゴメナ"....
-(7) Vakkari, Pertti. Library and information science: i...
-(8) Ruben, B. The communication-information relationshi...
-(9) Crowley, David; Heyer, Paul, eds. Communication in ...
-(10) 桂英史. インタラクティヴ・マインド:近代図書館から...
-(11) 吉田民人. 自己組織性の情報科学. 東京,新曜社,1990...
-(12) 吉田民人. 情報と自己組織性の理論. 東京,東京大学出...
-(13) 室井尚. 情報宇宙論. 東京,岩波書店,1991. 228p.
-(14) 村主朋英. 情報空間という語の用例の分析:情報学のた...
-(15) 村主朋英. 情報・ドキュメンテーション年表. 情報の科...
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