1.情報知識学会の位置づけの明確化
会員に対する情報提供と会員の原稿発表の場合、前者と後者は表裏一体のところがあり、
質の高い原稿が載れば、投稿しようという気を起こさせ、情報提供の質も高くなる。
情報知識学会誌に掲載されることに価値があるようでなければならない。
たとえば、情報処理学会や日本図書館情報学会など、それぞれの分野の主流雑誌の二番手の位置にある限り
価値は上がらない。この内容なら情報知識学会が第一雑誌であるというように価値をあげていかなければならない(一種の権威づけ)。
そのためには、情報知識学会誌のターゲット領域を明確にし、会員だけでなく一般の人たちにもすぐにわかるような形で
発信することが必要である。たとえば、領域マップをわかりやすい図にして、他の学会との違いを示すなどである。
2.内容の充実
情報知識学会は規模が小さいため、いわゆる「会誌」と「論文誌」を一体化している。現時点においては分ける必然性もないし、二つの雑誌を編集するだけの余裕もない。そこで、逆に一体化しているということを積極的にとらえ、研究論文(原著論文)だけでなく、その他の記事ももっと多く集め、多彩な内容にすることを提案する。もともと投稿規定を改定したときに編集委員会でそういう議論があり、原稿のカテゴリを増やしたという経緯がある。参考に現行のカテゴリを示す。
多彩な内容にして充実させる具体案は以下のとおりである。
3.編集体制
校正などの編集発行業務は、本来は事務局の仕事であるが、現在、事務局が一人であることから、特定の編集委員に負担がかかる状況となってい るのが実情である。事務局の人員を増やすことが望ましいが、財政上の問題もあり、理事会で検討して欲しい。(以上宇陀則彦氏報告)
[討議] 会員全員にかかわる学会誌というテーマだけに、活発な議論となった。「情報知識学会らしい」研究領域、研究課題というのが、イメージとしてはなんとなく頭に浮かぶものの、具体的に表現しにくい。曖昧なところはあるが、その「広さ」に、当学会の特徴をみるという意見が多い。時間的・歴史的経過とともに、絞られ固まっていくとする意見もあった。
質の高い原稿が発表されることは望むべくもないが、併せて会誌的な性格を出し、読みよいもの、楽しい雰囲気をつくるというのは、かなり編集委員会の手腕が問われることになろう。「会誌編集担当部会と論文編集担当部会に分け、独立して企画、原稿集めを行う」ことを勧める宇陀構想は期待できる方法の一つであろう。いい学会誌をつくりたいという編集委員会の意気込みは高く評価されるが、「書き手側」に対する配慮もして欲しいという意見が出された。具体的には、書いてみたいという意欲を引き出し、原稿の書き方、編集の手順などを明確にして、書きやすくするといった配慮が望まれる。いずれにしても、当学会員をつなぐ唯一のものだけに、学会活動の活性化、会員増強の重要な役割を果たすものであることが認識された。