下記のように、シニア情報知識学研究部会第1回卓話会が開催された。
本学会監事の山本毅雄先生(図書館情報大学・国立情報学研究所名誉 教授)に、「OCLC創設者、Frederick Kilgour先生と私」の演題で卓話 をお願いした。
Frederick Kilgour先生は、世界的な規模での 目録情報のデータベースの作成と提供を行う書誌ユーティリティ (bibliographic utility) OCLCの創立者である。山本先生の卓話は、 Kilgour先生との国際会議での出会いとその後の交流に基づいて、彼の 仕事ぶりやひととなりを紹介するものであった。
目録情報にかぎらず、オンライン・データベースの規模が著しく拡大 されたのは実質的には1970年代といえる。それ以前にも磁気テープ形式 のデータベースは存在したが、コンピュータシステムの処理能力、記憶 容量が現在と比較して極端に劣っていたため、オンライン・データベー ス化には種々の困難がともなっていたためである。こうした時代にOCLC の発展の礎を築いた先駆者であるKilgour先生の活動や苦労についての エピソードは、大変興味深いものであった。さらにOCLCでの目録情報の データベース構築の実態との関連で、わが国大学界での全国的な目録情 報データベース構築の揺籃期におけるエピソードの紹介もなされた。
新しい活動やサービスを開始しそれを発展させていくためには、種々の 人たちの多大なエネルギーと努力が不可欠であるが、ひとたびその活動 が軌道に乗ると、こうした貢献が忘れ去られるきらいがある。しかし 我々は、過去があってこそ現代や未来があることを肝に銘じる必要が あろう。
なお、下記OCLCのページにKilgour先生の講演ビデオと経歴が収録され ているので、適宜参照されることをお勧めしたい。
(世話人代表 細野公男)