第26回情報知識学フォーラム「研究データの管理・オープン化・利活用にどのように対応すべきか」報告

 フォーラムのプログラム詳細はこちら

第26回の情報知識学フォーラムを、12月18日(土)、京都大学桂図書館オープンラボ・リサーチコモンズにおいて開催いたしました。現地参加とオンライン参加によるハイブリッド形式により、招待講演5件、ポスター発表11件、およびパネルディスカッションを催した。ハイブリッド形式であったため、招待講演およびポスター発表の資料は、事前にWebにより参加者に公開いたしました。ポスター発表は会場における通常の形態とし、オンライン参加者には事前に資料を閲覧してもらい、質問フォームによる質疑応答による参加といたしました。
 ハイブリッド形式の開催は初めてのことであり、また当日は京都市内でも降雪があるなどの不安もありましたが、参加者および実行委員らの協力のおかげで、大きなトラブルもなく実施できました。深みのある集中的な議論が展開しやすい現地参加と、集中的な議論にはやや不向きではあるが参加が容易なオンライン参加を組み合わせたハイブリッド開催は、コロナ禍という状況を配慮してのことでした。しかし、参加者(特に開催地から離れた学生等)の間口を広げるという視点から、コロナ禍の如何にかかわらず、ハイブリッド開催は有効であり、今後は一般化していくものと推察します。ただし、一般的に現地参加者とリモート参加者が音声で議論できるハイブリッド環境を準備するには、長時間会議を設定できる遠隔会議ツールのアカウントや映像音声機器が必要です。さらに、それらを設定したり利用したりするスキルと、進行および運用手順も必要です。今回も、現地開催のみ、あるいはオンラインのみの開催よりも準備が複雑になったため、今後、小規模な組織ではハイブリッド開催は困難であるか高コストとなる可能性があり、課題を残したと考えています。
 本フォーラムのテーマを「研究データの管理・オープン化・利活用にどのように対応すべきか」といたしました。講演においては、人文社会学分野を主要な対象として、研究者が研究データをどのように組織化し活用しているのか、データ共有や公開に関してどのような考えやモチベーションや実践をしているのか、どのような問題を抱えているのか、若手研究者や研究データ人材の育成をどのようにしたら良いかなどについて、大学の第一線で活躍されている先生方の経験と知識の共有を図りました。その講演を受けて、パネルディスカッションでは、研究データの管理・公開や利活用に向けての展望や課題等について、会場およびリモートによる参加者も交えて、活発な議論が展開されました。その意味においては主催の目論見どおりの結果となりました。一方で、研究データというテーマの幅の広さと奥深さをあらためて思い知った次第です。研究データの保存や公開への対応は、これまでの研究手法や工程に大きな影響を与える重要な課題であると考えおります。今回のフォーラムが、研究データに関する新しい流れの創出やシステムの実装に結びついていけば、と期待するところです。

講演の様子ポスター発表の様子パネルディスカッションの様子

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS